新・仁義なき戦い
阪本順治監督作品。深作欣二監督の戦後の闇市から始まる「仁義なき戦い」をイメージしてたら、また全然違った。単なるヤクザ物ではなく、少年時代から因縁のある豊川悦司演じるカネオと、布袋寅泰演じるチャン・ライオンの二人の友情の物語でもあり、少年時代の伏線が効いていて楽しめた。阪本順治監督が撮ったからだろうか、自分が苦手なヤクザ物にしては好きなシーンもあり楽しめた。土着的なところが感じられるのは、いつもの阪本順治監督らしくて
嫌いじゃない。
豊川悦司は達者な役者だとは思っていたが、
カッコいい、と思ったことはあまりなかった。
今回ヤクザにしてはちょっと華奢で繊細すぎるような風貌だが、このカネオというクールだけど人間臭い男の役がはまっていた。同僚役の松重豊も若くて可愛かった。布袋寅泰も満たされない韓国人のヤクザの世界に入らない男を好演しており、印象的だった。余貴美子の焼肉屋の女主人もなんとなく悲哀を感じた。
一番好きなシーンはヤクザの親分が亡くなって、その葬儀後に霊柩車の跡を組員が何台もの
真っ黒の車でついて来ていて、農道で車が止まってスローモーションになり、それぞれの組員がいかつい形相で車から降りてくるシーン。暑くて画面がゆらゆらしていて、なんだか迫力あった。
豊川悦司が一番魅力がある頃の映画だったんだろうな、と思う。女優にも男優にも旬はある。