パルプフィクション
久しぶりに初めからじっくり見てみた。
タランティーノを知ったのも、パルプ・フィクションだった。公開当時映画館で観て、かなり好みの作品で、アメリカにこんなカッコいい映画を撮る監督がいたんだ!と衝撃を受け、興奮したのを覚えている。
なんと言っても音楽の趣味の良さが際立っている。考え込んだストーリーや会話、配役のセレクト、どれをとっても文句のつけようがない。
一番好きなシーンは、ジョン・トラボルタとユマ・サーマンが行った先のレストランで開催されたダンスコンテストで即興で踊るシーン。なんてカッコいいんだろう。トラボルタはダンスは十八番でさまになるのは当たり前なんだけど、ユマ・サーマンのダンスも独特で、二人の雰囲気が、張り切ってなくて、ゆるい感じですごくいい!と長年思っていた。今でもそれは変わらないのだが、それより今回ガーンときたのは、ティム・ロスとロザンナ・アークエットがレストラン強盗を始めるシーン。冒頭シーンなのだが、このシーンで観客のつかみは完全にオッケーという上手いスタートだ。ロザンナがレストランのテーブルの上にヒールを履いたまま上がり、銃を構えて大声で客を威嚇。ここで例のあの音楽が流れ、同時にクレジットが出る。あまりにイカした始まり方に鳥肌が立ってしまった。ちなみにティム・ロスは彼女を「ハニー バニー」なんて呼んでいて、そのへんもなんか好きなんだよなー。
映画の最後にこのシーンの続きが出てきて、安っぽい強盗をやらかそうとしたこのおバカなカップルが本物のヤクザに店で出くわし、諭されてシュンとして帰る。このヤクザがまたサミュエル・エル・ジャクソンという粋な配役。いやー、実によかったなぁ。
ティム・ロスを見たのはこの映画が初めてだったと思うが、このあと
色んな映画に引っ張りだこになって、すごく売れた。お偉いさんや芸術家の役なんかも演じていたが、なんとなくたよりないチンピラか、一般的な人の役をやるほうが私はしっくりくる。「フォー ルームズ」でのホテルマンの役も良かった。コメディもうまい。いづれにしても不思議な魅力あるから売れたのはわかる。
トラボルタはしばらくばっとしなかったけど、このヤクザ役でまた復活した気がする。今回の役はちょっととぼけたマフィアでカッコ良かったもんなぁ。
トラボルタもそうだけど、脇役でハーベイ・カイテル、エリック・ストルツ、クリストファー・ウォーケンなど大好きな俳優が多数出演。もちろん、ストーリーも素晴らしい出来で、脚本がすごく良くできてる。そりゃパルムドール獲るでしょ、と映画界の上のかたも納得の作り。この脚本を書いたタランティーノ、本当に才能ある監督だと思う。タランティーノはもともと映画オタクで、レンタルビデオショップの店員だったらしいが、映画の細部にそんな感じがチラチラ見えるのもなんかオタク仲間みたいで、親しみをおぼえる。
他にも彼の作品に好きなものは多数あるけど、
「パルプ・フィクション」は格別な作品だと思っている。タイトルも洒落てて冴えてる。
映画館になかなか行かなくなったが、タランティーノの作品は、来たらすぐ映画館で観てみたくなる。自分にそう思わせてくれる監督で、本当に愛すべき存在だ。これからもクールな作品を撮ってくれると思っている。