fiorentinax's ブログ

自宅で作った料理や、見た映画の感想、旅行の思い出を記録に残そうと始めたブログ

#青春群像

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フェリーニ作品で、未見でずっと気になっていた。フェリーニの自伝的要素もあるということで、興味をそそる。

 

5人の青年の話なんだけど、イタリア人らしく、女ったらし、陽気なおどけ者、神経質、家族思い、とキャラはさまざまな同じ街に住む青年が喧嘩したり、助け合ったりして、年月が過ぎていく、という話。

 

イタリアでは、私の知り合った人は陽気というより意外と神経質な人の方が多かったので、

フェリーニの弟、リカルド・フェリーニが演じる小難しい性格の男の存在がリアルで面白かった。女ったらしの男はお約束ではあるが、はちゃめちゃ過ぎて笑ってしまった。

 

イタリアは日本と違って、おじいさんたちが街のカフェに集まって、昼から夕方までずーっと話していたりする。この5人を見ていたら、その光景を思い出し、彼らも歳をとってもずっと

つるんでいるのだろうなぁ、と思った。

 

フェリーニならではの海も、劇場も出てきて

大満足。やはりフェリーニはいい。

 

しかし、ニーノ・ロータの曲は不可欠だな。

郷愁を思わせる作品には特に。もし、違う作曲家とフェリー二が組んでいたら、フェリーニ

はここまで有名になっていなかったのではないか?と思う。

 

#ベニスに死す

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言わずと知れたヴィスコンティ監督作品。

実は初見。特に何の知識もないまま、ホモセクシャルの話というだけで見た。難しい映画なんだろうな、と勝手に思い込んでいたが、単純な話。静養にベニスへやってきた作曲家が、保養先のホテルに滞在中の美少年に一目惚れするが、自分は初老の男で、叶わぬ恋に身を焦がしながらベニスで流行していたコレラに感染して死ぬ、というなんとも悲惨な話。

 

写真で何度も見たことあるこの少年、あまり何も感じてこなかったが、リマスター版を65インチテレビの画面で見ると、なんと美しいことか!!

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この少年を見ているだけでいい、という気持ちになる。

 

自分もある程度歳を重ねてきて、老いていく悲しさや虚しさを感じる。だから、#ダーク・ボガードが少年がベニスを去る日、最後に会える日に美容院へ行き、最大にめかしこむ姿には胸が痛かった。叶わない恋だが、今の自分の一番綺麗な自分で送りたい、という恋心。恋って残酷だ。

この病におかされながらも、必死に少年の姿を追う姿の退廃的なこと!

デカダンスだと、人が言うのがわかった。

 

映画の途中、一度ベニスを去ることになったボガードが見せる表情。ひょんなことからまたベニスに戻ることになり、少年に再会できるとなったときの喜びに満ちた表情がすごく上手かった。

海岸でのラストは非常に美しくて、映画史に残るようなラストシーンだった。もう圧巻と言うしかない。

 

美しさに対して他の監督の追従を許さなかったヴィスコンティ

ベニスに対して私が持つおとぎの島みたいなイメージまでも、いい意味でくつがえしてくれた。やはり素晴らしい監督だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

人間失格 太宰治と三人の女たち

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高校時代によく読んだ太宰治。かなり影響も受けた。小栗旬さんの太宰はどんなだろ?と思って見た。監督は蜷川実花さん。

 

いきなり自分のイメージとは違った小粋で、そんな暗くない太宰が現れたので、「こんなん違うやろ⁉︎」と、違和感を拭いされないまま中盤へ。話としたら、自分のふところに飛び込んで来た美女は拒みきれない優男の太宰が翻弄されて…という内容で、まぁそれならこの太宰像で良いのかと思って見ていた。結局嫌いなタイプではない女に来られたら、こばむことはしないのが男というものだし、ロマンチストで優しい太宰治なら、ことさら仕方ないだろう。モテるタイプなんだから。

 

20代の時に見ていたら、もっと女性に感情移入していただろうが、今となってはあまりに情愛のきつい女性は、うわ〜っしんど、と思ってしまう。むしろ太宰に対して、大変だなぁ、と同情に近い感情すらわいた。

 

今回、監督はいつもの原色の世界を昭和初期の

インテリアとか、花の色に出してきて蜷川実花ワールドは健在だった。

 

意外に脇役の成田凌さん、千葉雄大さんが良かった。三人の女は、妻が宮沢りえさん、愛人は沢尻エリカさんと二階堂ふみさん。みんな個性に合った役どころで悪くはなかったけど、個人的には連れ込み宿の壇蜜さんが一番妖しくて綺麗だと思った。

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ゴーン・ガール

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ロザムンド・パイクという見たことない女優が主演で、とんでもない嫁を演じている。ベン・アフレックがその嫁に振り回されまくる夫。

「セブン」、あまり好きじゃなかったが、ベンアフレックが久しぶりに見たくなって見た。

サスペンスなのだが、嫁の性格が悪すぎて、イライラしてしまった。それにまた輪をかけた夫のダメ男ぶり。

ディビット・フィンチャーは血が好きだな。しかもドロっとした濃い目の赤の血が。そういうシーンはすごく良く出来ていると思った。話としては面白いし、やはりこの分野では完成されたものを作り上げる監督だと思う。

しかし私あまり私の好みではない。

大阪物語

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1957年公開。井原西鶴溝口健二原作。吉村公三郎監督。

溝口監督がクランクインする直前に入院、そのまま亡くなってしまい、吉村監督がメガホンをとったといういわくつきの作品。

 

市川雷蔵さんと香川京子さんの珍しい組み合わせの作品なので観たのだが、主演は二代目 中村鴈治郎さん。極貧の家族4人が、住む家もないところから中村さん演じる父親の地を這うような努力と執念で、大店のお茶屋を築く。

守銭奴となった父親が、好きな男のいる娘の縁談も商売発展のため、自分勝手に決めてくる。全てうまくいくと思いきや…

 

当時売れていた雷蔵さんの名前がクレジットの初めの方にあるが、雷蔵さんというより、これは完全に中村鴈治郎さんのものすごい演技で圧倒されてしまう作品。脇にすごくキラキラした勝新太郎さんや、香川京子さん、浪花千恵子さん、東野英二郎さん、中村珠緒さんなど、名だたる俳優が多数出演されていたが、あとで頭に残ったのはダントツで雁次郎さんだった。

 

教訓として、人間は金の亡者になってはいけないな、一番大切なものは何かを考えて生きないと、と思った。バカみたいな感想だが、そう思った。

 

 

哀愁

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ロバート・テイラービビアン・リーの悲恋の物語。

第一次世界大戦中、イギリス大尉のロイは数日後にフランスへ行くことが決まっていたが、たまたま出逢ったバレエ団の踊り子マイラと恋に落ちてしまう。

 

結婚を決め教会に行くが、急に旅立つ日が1日早まり、帰ってきたら必ず結婚しようと誓い合い、二人は別れる。その後、マイラはロイの戦士の通知を新聞で知る。

 

バレエ団を解雇されたマイラは戦時下仕事もなく、娼婦に身を落とす。数年後、いつものように駅にお客を探しに行くと、そこには帰還してきたロイがいた。ロイは結婚しようと、婚約パーティーが開かれる。マイラは一度は過去を隠して結婚しようとするが、結局ロイの立場を考え、2人が出会ったウォーターブリッジに立ち尽くし、車の中に身を投げる。

 

単純な話だけに、2人の美しさが際立って仕方なかった。ビビアンは、「風と共に去りぬ」では強い女を演じてカッコよかったのだが、哀愁ではかばってあげないと、と思わせるような弱い儚い女性を演じあげた。絶世の美女だと思っているが、容姿だけの女優でないところと、何か危ういところが彼女のファンでずっとい続ける理由でもある。

ロバート・テイラーは流石の風格で素敵なこと極まりない。

 

原田知世さんがドラマでマイラ役をやったらしいが、ちょっと想像出来ない。

 

 

カルメン故郷に帰る

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なかなか見れないでいた作品だが、見て良かった。木下恵介監督。1951年、自分が生まれるずっと前の作品だが、そんな違和感はなかった。

ストリッパー役の高峰秀子さんの、なんと明るく、あっけらかんとしたことか!青空の下でストリッパー仲間と二人で水着姿で歌いながら踊るシーンがあるが、陽気すぎて笑ってしまった。戦後初のカラー作品ということもあって、失敗した時用に白黒も撮影したらしい。大変だっただろう。失敗どころか、リマスター版になって、空の青、ワンピース の赤、山の緑、紅白の垂れ幕がまぶしいくらいに綺麗だった。

 

故郷に錦を飾る、ということは田舎を離れて上京した人たちにとっては非常に大切なことなんだなぁ、と思った。

 

笠智衆さんが明るい校長先生、佐田啓二さんがシャイな教員役、いづれもいつもと違った感じの役で楽しかった。