日本昆虫記
1963年、今村昌平監督。
東北のある村に生まれたトメという女性の大正7年から昭和24年までの生き様。
名作だと聞いていたが、今回見るのが初めて。
自分が生まれる20年ほど前の日本は、こんなに貧しかったのだろうか?!ということに衝撃を受けた。田舎娘が上京して生き残っていくには、これほどまでにしなければならなかったのか?ウブな田舎臭いトメが、男に騙されたりしながら仕事を転々とし、新興宗教に入り、売春までして、どんどん金に汚いすれっからしになっていく。
そのドロドロした人間模様の描き方がリアルで、暑苦しく、今村昌平の真骨頂を見た気がした。
溝口健二監督の「赤線地帯」のほうがまだライトな感じがする。
春川ますみ、露口茂、佐々木スミ江、北林谷栄などの脇役も素晴らしいが、左幸子の汚れ役と東北弁には拍手喝采をおくりたい。
すごい女優さんだ。
人間の汚いところを見せまくる衝撃的な作品だったが、見て良かった。ラストで娘が良い方に
向かって人生を生きていく、というのが救いがあって良かった。