宗方姉妹
小津安二郎監督、1961年作品。
「東京暮色」よりは救いはあるけれど、意外に暗い話だった。
田中絹代が失業中の夫の山村聰をバーで働きながら養っているのだが、昔の男のことでグチグチ言われたり、挙げ句の果てに殴られたり。
1961年あたりだと、こんなに夫は偉そうにふるまうのか?現代から考えると怒りを通り越して、アホらしくさえ思える。
このしおらしく芯の強い姉と対照的で、明るく、無邪気でおてんばな妹を高峰秀子が演じている。天真爛漫すぎて、この妹も現代にはいないタイプだった。機嫌が良いと、エアーでバイオリン弾いたりしてみせるが、怒るとバーで酒瓶を次々と壁に投げつけて割ったりする。
こんな威勢の良いお嬢さんは、あんまり知らない。
フランス帰りの優男で、田中絹代とも若い頃恋仲だったという紳士を上原謙が好演している。
結局というか当たり前のように山村は捨てられてしまうが、ラストはめでたし、めでたしでもなかった。なんでそうなるかなー、っていう感じだ。
小津監督って、自分が若い頃は、日本の良き家族や親子の形を描く温和なひとなんだろうな、と思っていたが、最近色んな作品を再見してる
と、そうではない気がしている。
男女関係ではドロドロしたものも経験されてるのかもしれない。