fiorentinax's ブログ

自宅で作った料理や、見た映画の感想、旅行の思い出を記録に残そうと始めたブログ

グリーンブック

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第91回アカデミー賞作品賞を獲得しているとは知らず、マハーシャラ・アリが好きなのでDVDで鑑賞。マハーシャラ・アリ助演男優賞ヴィゴ・モーテンセン主演男優賞を獲っている。

 

1962年のアメリカが舞台。黒人天才ピアニストドン・シャーリーがアメリカ南部ツアーをした時に雇ったボディガード兼運転手のイタリア系アメリカ人トニー。彼との友情が、実話をもとに描かれている。

 

マハラーシャはシュッとした神経質なピアニストを見事に演じ切っていた。身のこなし、表情、しぐさ、どれをとっても「ムーンライト」のジャンキーな役とは全く違う人物になり切っていて驚くとともに、彼の役者としての才能に惚れ直した。すましている時も素敵だが、笑った時の表情がなんとも言えずいい!長身でいつも洗練されたファッションに身を包み、信念があり、しかもミステリアスな感じがするピアニスト、とても上手かった。

 

主演のガサツな性格の運転手トニー、こんないい役者いたっけ?どこかで見たようだけど、と思いながら最後まで分からず、見終わってから調べたら、「ロード・オブ・ザ・リング」のヴィゴ・モーテンセンだった!イメージが全然違ったので驚いたが、いい感じに歳をとられたなぁ、こんな役も出来るのか。と感慨深かった。

 

黒人差別を扱った映画は何度か見ていたが、60年代はどんな著名人でも、黒人であれば、黒人しか泊まれないホテルに滞在しないといけなかったり、トイレも白人とは絶対別。自らが演奏するホテルのレストランで食事できなかったり、不条理な習慣がまだまだあったことに腹立たしさを感じた。

というのも、かなりトニーに感情移入をしていて、トニーの視点に自分も立っていたからだ。トニーもイタリア系アメリカ人で、やはりある種の差別を受けていて、シャーリーの気持ちにより近く、今まで見た黒人差別を扱った映画とは少し違った視点、身近なことのように感じた。当時、黒人の中でもこういう著名人は妬まれたりして浮いてしまい、さらにゲイであるとなるともっと差別される。その辺のことを上手く観客に見せていた。

 

立場、年齢、国籍、身分がまったく違う男性2人の友情ものは、ここ10年くらいすごく増えて、また同じパターンなのかな、と思っていたが一味違った演出で、ラストもアメリカらしいお決まりの感じではあるが、ベタっとしておらず余韻の残る好きな終わり方だった。実にあたたかいラスト。自分の好きなイタリア人と黒人の話だということもあってか、好きな映画の一本になった。また数年したら見返してみたい。

 

2人が車中でフライドチキンを食べるシーン、トニーの妻への手紙の内容をシャーリーが考えて口出すシーン、ラストのクリスマスパーティーのシーンなど、忘れられないような良いシーンがいっぱいある。