JOKER
特に前知識もないまま、ホアキン・フェニックスが主演でいろいろと話題だったのでDVDを借りてきて見てみた。
アメリカのコミック「バットマン」のジョーカーが誕生するまでの経緯が描かれている。
私の中で、ホアキンといえば「誘う女」の高校生役の彼だが、どちらかといばえばその時の印象にあまり変わりはなかった。やはり上手い役者だが、ひとまわり凄みが加わった。顔のシワも良い感じだ。昔から気になる俳優ではあったけど、出世作がなかったので、今回はアカデミー主演俳優賞も獲れて良かったと思う。
テレビ出演に向かう前、ジョーカーが階段でステップをふんで踊るシーンが一番好きだった。なぜか神々しく感じられた。
ジョーカーは悪ではあるのだけど、その裏にある彼の心の傷や悲しみ辛さ、そこに心が痛んだ。哀しみに満ちたジョーカー。ピエロはなんだか子供の頃から悲しそうだな、と感じていて、私には少しも面白くなかったし、笑えなかった。悪の象徴みたいな、今回の扱いの方がピッタリきた。
アメリカならではのコメディショーが出てくるが、有名司会者をロバート・デニーロが演じている。なんともこの役もピッタリハマっていた。マフィアのボスや精神異常者、犯罪者、父親役、いろんな役を見てきたが、こういう役のデ・ニーロは初めてで新鮮だった。
もう1人、ジョーカーの母親が精神を病んでいて、非常に危うい感じを前面に出していて、なにか見覚えがある、と思ったら、「シックス・アンダー・フィート」でかなりやばい感じの母親を演じていた女優だった。
映画の背景には、アメリカ社会の影の部分、貧困層の社会やホワイトカラーに対する不満を強く感じる。もしこの間の警官が黒人を窒息させて起きた暴動のあった時に、この映画の上映期間が重なっていたらどうなっていただろう?