婦系図
泉鏡花原作、三隅研次監督。以前見たことをすっかり忘れて、図書館で借りて見た。悲恋もののお手本のような作品。現代社会で、愛する男性の出世のためにこれほど健気に尽くす女性がいるのだろうか?自分はどれほどつらくとも、
さっと身を引ける女性がいるのだろうか?
今の若い女性が見たら、もはやおかしな世界観なのかもしれないが、美しい話だった。
二人の別れのシーンでのお蔦の、「今日はうちへ帰っていいの?」という台詞が健気でいじらしかった。雷蔵のかっこよさはいつも通りだ。
雷蔵みたいな人だからこそ、女もここまでするのだろうという、説得力がある。
木暮実千代さんの
年季の入った芸者のおねえさんのオンナっぷりも非常に印象に残った。
「赤線地帯」の役柄とはガラッと変わり、色っぽく、粋で、ちょっとうっとりした。