fiorentinax's ブログ

自宅で作った料理や、見た映画の感想、旅行の思い出を記録に残そうと始めたブログ

万引き家族

万引き家族

是枝裕和監督。すごく好きな監督というほどではなかったけど、なぜか彼の作品はほとんど見ている。「誰も知らない」に似たところがすごくあったし、
ある意味「誰も知らない」の完成形だなと思った。血がつながった家族がすばらしいのか?定職のあるきちんとした親がどれだけすばらしいのか?
幸せっていろんなところにあるんだよなぁ。とかそんなことを考えた。実を言うと、リリー・フランキー樹木希林も今までそれほどいいなと思ったことがなかった。しかし、この低所得者の訳ありの父とおばあさんという役を「絶対いるよな、こういう人!」という感じありありですごく上手く演じておられた。リリーさんのちょっとはすっぱな早口なしゃべりかた、走り方、リアルだった。樹木さんの物を食べるシーン、
なんかこのおばあちゃんの人生が想像出来るような食べ方。なんか最後にすごい演技見せてくれたなぁ、流石だ。
安藤サクラは言うまでもなく上手く、役柄も彼女にぴったりの母親役であった。NHK連続テレビ小説まんぷく」での彼女の演技も素晴らしかったが、
ちょっとすれた女の役が彼女にはすごく合うし、今の日本ではそういう役をやらしたら彼女の右に出る女優は同年代では見当たらない。

長女の立ち位置だけがこの家族の中で少し違うのだが、現代っぽい女の子のようでいて何か心に傷を負っているような、この子が家族の中にいることで映画のアクセントになってるような気がした。

リリー・フランキーの男の子に対する愛情の表現も変に飾ったりすることなく、正直で好感が持てた。実の親でなくても一緒に長年暮らしていたらもう
それは本当の親子と一緒だろうし、却っていつ離れ離れになるか分からない緊張感があるぶん愛情が濃くなるのではないか、とすら思った。
あとこの映画の中で上手いなというか、好きだったのはリリーと安藤サクラのベッドシーンだ。ベッドシーンといってもその前後しか出てこないが、
リュック・ベッソンの「二キータ」で主演の男女二人がはじめて結ばれるシーンを彷彿とさせるシーンだった。変なムード作りとかはまったくないのだが
二人の雰囲気がとても色っぽく、リリーが「俺、できたよな?」と誇らしげに言いながらタバコをふかすシーンがユーモアがあって思わず笑ってしまった。ラストのシーンさらっとしていて、子供を引き合いにだす私の苦手なお涙頂戴はまったくなく鑑賞後も「あぁ面白かったなぁ」という感想でいっぱいだった。こんな監督が自分と同年代で日本にいることが嬉しい。