fiorentinax's ブログ

自宅で作った料理や、見た映画の感想、旅行の思い出を記録に残そうと始めたブログ

赤線地帯

赤線地帯 [DVD]

監督、溝口健二。去年出町座で見て、もう一度日本映画チャンネルで。溝口監督の遺作。溝口にしては意外な映画だと思ったが、やっぱりどことなくクールだけど暗い演出で納得した。黛敏郎の独特な音楽と宮川一夫のカメラ。女優は三益愛子、小暮美千代、京マチ子若尾文子、町田博子、沢村貞子、浦部粂子などのベテランたち。面白くないわけがない。
売春禁止法案が国会で審議されてる頃、吉原での一軒の宿で働く女性たちの話。娼婦といっても40歳もとっくに超えて大きな息子のいる者や
体の弱い亭主と赤ん坊を養ってるもの、神戸から家出してきた自由奔放な娘、守銭奴の女、畑仕事がいやで出戻ってきた女、いろいろなタイプが入り混じっての宿。京マチ子が自由奔放な娼婦の役で同僚の客をとったりする。芸名がミッキーというのだが、雰囲気にぴったりで笑えた。
やはり京マチ子、期待を裏切らない。
でも一番印象に残ったのは、亭主と赤ん坊持ちの娼婦、小暮美千代だった。商売以外の時は、普段着の地味な着物姿に黒ぶちのめがねをしていてすごく老けている。女主人の沢村貞子に「ちょっとー、所帯じみないでおくれよ」などといやみを言われたり。でもこういう人って絶対いたんだろうなー、と思わせるリアリティのある演技で光っていた。
人魂が飛んでる時みたいな奇妙な音楽と唐突な終わり方、そこもすごく印象に残った。